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浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その27)

Posted on 2014年1月14日

3Dプリンター」これを使うと、例えば、恋人の写真から実物に近い小さい立体像(ミニチュア)を造れるというプリンターのこと。

 

知ったかぶり老人:何?プリンター3台?そんなに要らんわ。俺は1台で満足しとるよ。カラー印刷も出来るしな。大したもんじゃよ。

 

中学生ギャル:私は“3Dプリンター”がものすごく欲しいよ。好きな先輩がいるんだ。でも母ちゃんは、「私のミニチュアを造ってどうするんだい?近頃は写真を撮られるのさえイヤなんだよ」なんて言ってる。わかっちゃいないなー。

 

超真面目女子大生:いくつかの会社が来春には実用化するとしていますが、カラーテレビが普及し始めた時に、「想像力を奪うもの」と批判されたように、こんなプリンターが普及したら、空想力は益々衰えてしまうと心配します。“便利なもの”には必ずマイナスの面があります。「東京新聞」(2014年1月7日)は、モデルガンなども本物そっくりに造れる危険性を指摘していました。(この回終り)

浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その26)

Posted on 2013年12月16日

「ワイシャツ」

明治の時代から男性には馴染みのあるシャツだが、最近は日本人の器用さが評判になって、特に“鎌倉シャツ”が話題になりました。

 

知ったかぶり老人:“ワイシャツ”のことくらい知っているぞ。“ホワイトシャツ”がなまって“ワイシャツ”になったんじゃ。“鎌倉シャツ”?それは、男が“いざ鎌倉”という勝負の時に着るもんじゃろ。

 

中学生ギャル:うちの父ちゃんに「なぜ“Yシャツ”って書くの?」と聞いたら、「“Tシャツ”は普段着だ。“Yシャツ”は男の正装だ」なんて言ったよ。父ちゃんのワイシャツに口紅がついていて、母ちゃんと夫婦げんかになったことがある。父ちゃんは「それは男の勲章だ」なんて勝手なことを言ってた。

 

真面目女子大生:外来語をカタカナ語で表すと意味が不正確になることが多いですね。昔のワイシャツは、襟が変えられましたが、その襟を“カラー”と書くと、“色”(color/ colour)のことか“襟”(collar)のことかが分からなくなります。英語の授業では、こういう発音や綴りのことも、きちんと教えたら良いと思います。(この回終り)

浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その25)

Posted on 2013年11月18日

「メニュー」

ご存知のように、料理店で客に見せる料理の一覧表。ところが見る人によって実物と違うことがある不思議なものらしい。

 

知ったかぶり老人:わしなんかメニューなんて要らんね。「いつものやつ」で済むよ。味も分からんくせに高級料理など食うから騙されるんだ。

 

中学生ギャル:珍しく両親がレストランへ連れて行ってくれた。家に帰ってテレビを見たら、その店の品物がメニューと違うと大騒ぎになっていた。それで父ちゃんと母ちゃんが喧嘩を始めて、家中の空気がおかしくなったよ。こういうのも弁償してくれるのかな?

 

真面目女子大生:実物を知っている料理長はメニューを読まず、メニューを読んだ店の経営者たちは実物を知らないということを暴露した事件です。こんなことを「偽装ではなく、不注意な間違い」と誤魔化そうとするなんて頭がどうかしているわね。でも、“味”というものはとても主観的なものだから、これが本物なんて言えないのではないかしら。(この回終り)

浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その24)

Posted on 2013年10月29日

「藤原の効果」

2013年の秋は、台風が多発して、2つの台風が次々と襲来するような場合がありました。1921年に当時の中央気象台長だった、藤原咲平は、2つの台風の進路を分析したので、それが“藤原の効果”(Fujiwara Effect)と呼ばれるようになりました。

 

耳の不自由な知ったかぶり老人:なに?藤原の鎌足?7世紀の立派な政治家じゃよ。違う?台風のこと?鎌倉意時代に蒙古の大軍が攻めて来た時に台風のお陰で日本は助かったな。“元寇”とも言うな。

 

中学生ギャル:うちの父ちゃんと母ちゃんは、気圧が低くなると機嫌が悪くなる。二人して、私のことを叱るんだ。こういうのを台風の“追従型”って言うんだってさ。こっちはたまったもんじゃないよ。

 

まじめ女子大生:気圧と身体の調子は関係があるのは確かです。大正時代に台風の進路を予測、分析した藤原とかいう人は偉かったと思います。しかし、現在は人間とコンピューターとどっちが優秀なのでしょうか?今の人間は機械に頼り過ぎて頭が悪くなっていると私は思うのですが。(この回終り)

浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その23)

Posted on 2013年9月27日

「おもてなし」

“2020年東京オリンピック”招致運動の最終プレゼンテーションで、元ニュースキャスターの滝川クリステルさんが、ジェスチャーと共に言った“おもてなし”が評判になりました。

 

耳の不自由な老人:「表通り?」うちも表通りに面しているが、最近は車がうるさくて閉めたままだよ。オリンピックの前に、車の排気ガスを何とかしてくれんかね。裏口の出入りは気がひけるよ。

 

中学生ギャル:うちの母ちゃんは、お客さんが見える日になると朝から大騒ぎ。「かたづけろ」、「掃除しろ」って私に当たるんだ。「おもてなし」なんて、普段から準備しておくもんだよね。

 

まじめ女子大生:「おもてなし」というのは、「心から歓迎する」という気持ちを形に表すことだと思います。私が昨年アメリカに留学して各地を旅行した時は、それぞれの地域に“ホスピタリティ・クラブ”(Hospitality Club)というものがあって、心のこもった歓迎をしてくれました。オリンピックの時だけ歓迎しても本当の“おもてなし”にはならないでしょう。(この回終り)