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一字違いの両義性

Posted on 2010年10月26日

  (14)The boss had his bag stolen.の両義性を。最も劇的と申し上げましたのは、結果的に一字違いになるからです。
 まず、 (14)The boss had his bag stolen.の両義性に係わるのは、have + 目的語 + 過去分詞という構文に隠されています。have + 目的語 + 過去分詞という構文は、広義の「使役」を表し、更に、<受身用法>と狭義の<使役用法>があり、これらの用法が、両義性に反映されます。
 次に、両用法を見ていきましょう。<受身用法>は、広義の「使役」と言っても、話者から見れば、不可抗力であったりしまして、発音上、過去分詞が強く発音され、~れるという意味になります。逆に、狭義の<使役>は、文字通り、話者が使役を促しまして、発音上、haveの方が強く発音され、~せるという意味に対応するのです。
 以上から、<受身用法>が、Aの解釈で、狭義の<使役>が、Bの解釈になります。
A: 上司は、自分のかばんを、盗まれた。
B: 上司は、自分のかばんを、盗ませた。
Bの方が、考え難いのでしょうが、ある映画を見ておりましたら、ホテルにイチャモンをつけるのに、クロ―クに預けたかばんを盗ませる場面があるではありませんか。
 次回は、次の(15)で、「君、作る人、僕、食べる人」というCMが30年以上前になったと思われたりしませんか。
(15)Mark cooked a meal for his wife.

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