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先生の集団逃亡が始まった

Posted on 2010年9月3日

教育にとって最も大切なのは? ― それは先生!
2.先生の集団逃亡が始まった
『先生の集団逃亡が始まった』(石井竜生著,清流出版,2007)というショッキングな本によると,2006年度における東京都教員の退職者は1560名で,そのうち890名が中途退職者で,その中に校長24名が含まれていたという。補充が追いつかないほど中途退職者が多い。やっと校長になっても定年を待たずに辞職する者が24名もいたというのも驚きだ。

教員採用も難しく,東京都では,あちこちの地方で採用試験を行う,合格発表を早くする,昨年度の合格者には筆記試験を免除する,秋田県などと人事交流契約を結ぶなど対策に努めているが,それでも年度途中の欠員などが埋まらず,さらに経験者の流出に苦慮しているようだ。

私立の場合はさらに深刻で,派遣会社と教員派遣契約を結ぶ学校が急増していて,先生争奪戦が展開されていると新聞が報じている。

東京学芸大学も「教職特待生制度」(1名につき500万円)を作って教職を目指す優秀な学生を逃さないことにしたという。

日本ではなぜこのように「先生」の魅力がなくなり,いっぽうフィンランドでは,医師・弁護士と並んで高校生のなりたい職業のトップに(26%)「先生」があるのであろうか。このへんをじっくり検討してみたい。
(村田 年)

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