言語情報ブログ 語学教育を考える

4.少しばかり詳しい分析・考察(1)

Posted on 2011年3月3日

まだ,結果の詳細な分析を読んでいないが,いくつか指摘されている点を見てみたい。

まず「読解力」を3つに分けると,1)必要な情報を取り出す力― 4位,2)その情報を統合・解釈する力― 7位,3)熟考・評価する力― 9位となっている。

PISA型問題は,基礎―応用―さらに自分の生活・社会・将来への応用と評価,となっている。従来の日本の学習は,この最後の段階,すなわち,その問題が自分の生活,人生,属する社会,将来とどのような関係を持つ可能性があり,また,どれほどの意義があると考えるか,といった点の学習が欠落していた。

ご覧の通り,最後の自身の生活への応用力がまだ弱く,さらに無回答,なにも書いてない答案が多い。これは問題だ。結局自分と関係してくると書けなくなってしまう,知識を自分の経験と結びつけて考えることが苦手なのだ。これは教育としては決定的な欠陥となろう。

また,OESD加盟国平均と比べて,成績の下位層の割合が多い。PISA調査の目的は,義務教育終了段階で社会生活がうまくやっていけるかどうかを見ることだが,この下位層は社会生活を営むことが困難とのレッテルが張られている。この割合が多いのは問題である。成績下位層が支援を受けないまま,高校生になってしまったわけである。
(村田 年)

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