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浅野:英語教育批評:英語教育の効果を上げる方法とは?(その1)

Posted on 2008年11月18日

 この問いの答が1つということはあり得ないであろう。「基礎力をつけろ」には賛同する者が多いが、「基礎力とは何か」という問題が生じる。「文法をしっかり教えろ」と言えば、「英米語だけを基準にするのか」と問われる。「読解力をつけろ」には、「この国際化の時代に読む力だけでよいのか」と反発される。挙句の果ては、「帝国主義の言語を学ぶ必要がどこにある」とまで言われる。つまり悪い意味の「禅問答」になってしまって、結論が出ないのだ。こういう混沌とした状況が、学校の英語教育の効果を低くしている大きな原因である。日本人はこういう曖昧で、混沌とした状況をむしろ好むようだ。つまり理論的に問い詰めて結論を出すことが不得意でもあり、嫌いでもあるのだ。
 「英語を学ばせたい」と言うなら、もっと単純に割り切るよりないであろう。高校1年生には「ではオバマ新大統領のような英語を目標にしよう」「目標にするのはよいですが、ちょっと高すぎます」「それなら、基礎的な英文を読んでみよう」と誘導したい。
 私は前回のブログで茅ヶ崎方式のテキストについて、「英語学習の初歩的教材の在り方にも示唆することが少なくないと思う」と書いた。1つ見本を示そう。

Okamoto Taro is a master of abstract art.
He studied art in Paris for nine years and
was interested in Picasso’s paintings.
Okamoto’s works are full of bright colors.
His best-known work is the Tower of the Sun,
the symbol of the Osaka Expo in 1970.
The 70-meter-tall white tower has three
faces: golden, white and black. He often said,
“Be free from traditional rules.” and
“Express yourself freely.”
 
 この英文教材については次回に考察する。
(浅 野 博)

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