言語情報ブログ 語学教育を考える

浅野式辞典:「いけめん」(イケ面)

Posted on 2006年10月2日

 「池面」と書くのが正しい。どういう池の面かというと、蛙が飛び込む音が聞こえるような古池ではなく、新しい池で、その面の形が長すぎず、丸すぎず、水面はなめらかなのが評判がよい。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★

浅野:英語教育批評:○○の授業では何を学んでいるの?

Posted on 2006年9月27日

 「だったら、日本人は○○の授業で12年間もいったい何を学んでいるの?」という文を見たら、多くの人は「英語の授業だ」と思うかもしれない。でも、「12年間」というのは数が合わない。実は、これは、三森ゆりか『外国語で発想するための日本語レッスン』(白水社、2006)という本からの引用(p.45)である。
 この書物のタイトルはちょっとわかりにくいが、著者の言いたいことは、「日本人も欧米式の言語教育を(日本語で)受ければ、少なくとも欧米の言語を学ぶことが、もっと楽になるはず」ということである。「欧米式の言語教育」とは、「テクストの分析と解釈・批判」を目標にしたもので、英、米、ドイツ、フランス、スペインなどでは、小学校からこういう読書術を教えると著者は言う。日本人のためのその実践例が「日本語レッスン」である。
 著者の友人であるドイツ人の先生は、日本の大学生や院生に小説を読ませて、議論をさせようとすると、学生たちは「印象」は語れるが、論理的な分析や批評ができないのであきらめざるを得ないと言う。そして、そのドイツ人が、著者から「日本ではそういう読書術は教えていない」と言われてもらした言葉が、冒頭の引用文である。つまり「小・中・高の国語の授業は何をやっているのか」というわけである。
 そこで、村上愼一『なぜ国語を学ぶのか』(岩波ジュニア新書、2001)を読んでみた。高校生との対話の形式をとっているが、どうももって廻ったような言い方が多く、すっきりと読めない。「論理的な文章とは」という節では、論理学の用語(帰納、演繹、弁証法など)の解釈に終わっていて、これでは論理的な話し方は学びにくい。三森さんの言うことは正しいと思わざるを得なかった。
(浅野 博)

浅野式辞典:「ほねぶとのほうしん」(骨太の方針)

Posted on 2006年9月26日

 フライドチキンが目方のわりに食べでがないと思ったら、太い骨がついていたというせこい店のやり方。そういうごまかしをしようと、政策にまで使われだした。おまけにその骨は“コツソソウショウ”だってさ。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★

浅野:英語教育批評:英語を話すということ

Posted on 2006年9月21日

 NHK の「英語でしゃべらナイト」は良い番組だ。でもこのタイトルは気に食わない。NHK は昔から、「お笑いオンステージ」とか「二人のビッグショー」とかカタカナ語を組み合わせた題名が好きだが、「しゃべらナイト」は“お寒い”だじゃれだ。
 良い番組と思う理由の1つは、日本人だって結構英語が話せるではないか、という自信を与えてくれることだ。それぞれの道で懸命に努力している日本人が英語を使ってその思いを語る。難しいところは日本語にもなるが、英語のナレーションがその隙間をかなり埋めてくれる。そして、大事なことは、一芸を極めんとしている人物は語るべき内容を持っているということであろう。日本語でもろくに話せない生徒に、英語で語らせようとしてうまくいかないもどかしさを感じている教師は少なくないと考えられる。
 女子ゴルファーの宮里藍さんは、インタービューの発言にまとまりがあってうまい。英語も話せる人だ。話し方が型にはまっていて個性がないという批判もあるが、何を言いたいのか判らないよりはるかにましだ。日本語と英語という関係になると、角行之『日本語のうまい人は英語もうまい』(講談社+α新書、2003)を思い出すが、「思考と言語とは無関係」(p. 63) など少し思い込みが強いところがある。有益な忠告も少なくないが、ちょっと鼻につくところもある。私は、荒木博之『日本語が見えると英語も見える』(中公新書、1994)を推したい。この著者の要求するレベルはかなり高いが、日英両語の「言語感覚」を鍛えることは日常の英語授業で目標にしてもっと努力すべきだと思う。
(浅野 博)

浅野式辞典:「きょういくいいんかい」(教育委員会)

Posted on 2006年9月19日

 一般市民が「教育、いいんかい?」と疑問を表したことからできた組織だが、いかがわしい教員の処分の発表の際にのみ存在感を示す。市民は相変わらず「それで教育、いいんかい?」と問い続けている。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★