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日本人の学習形態を変えたらどうでしょう?4

Posted on 2009年11月18日

欧米の文化における school, education と日本の文化における「学校・教育」と「学ぶ」
欧米では学習をどう考えているか。まずは語源を見てみましょう。school の語源は「暇(ひま)」ですね。余暇・自由時間があるから,いろんなものに疑問を持ち,みんなと討論する,然るべき人に教えを請う。それが学校になった。educate(教育する) は「能力を導き出す」ということから来ています。

この語源の意味は今でも生きていて,英米では生徒の能力を引きだすことに重点がおかれているようです。生徒に疑問を持つことを奨励し,疑問にはていねいに答え,それぞれの生徒の異なった興味・関心を大事にする伝統があります。講演ですら,途中でクイズを出して,隣の人と議論をさせたりします。

一方,日本語の「学校」は文字通り「学ぶところ」であり,「教育」は「教え育む(はぐくむ)」ことです。「学ぶ」は「まねぶ」(まねをする)から来ています。ここから,「学ぶところにおいて,お手本のまねをさせることによって,生徒を教え育てる」という日本の教育の特徴が見えてきます。疑問を持つ,自分で追及するといった方法はまったく示唆されていません。

どうも成り立ちからして,英米の「学習」と日本の「学習」は相当に違ったスタンスに立っているようです。英米の学習法にもいろいろと欠点はあるでしょう。大学生になっても「掛け算九九」ができなかったり,単語のつづりをめったやたら間違えたりする学生が多かったりして。

そこで,英米と日本の中間あたりがいいかと思いますが,いかがでしょうか。われわれの場合,今よりある程度「問題追及学習」の方へ軌道修正するわけです。

もうひとつ,学校での学習を日常生活に,将来の人生につながるものとすることです。私たちは「ホームルーム」「総合的学習」といった,生活や人生につながる学習が不得手なようで,「総合的学習」の1時間を英語の学習に当てたりしますが,これは本来の趣旨に合っていないでしょう。 (村田 年)

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