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9.コロンビア大学での講義(湯川秀樹の英語力-その2)

Posted on 2010年2月2日

プリンストン高級研究所に客員教授として滞在中に,コロンビア大学へ専任教授として来てくれないかとの誘いがあり,これを受けて,1949年9月から1953年5月まで3年8ヵ月にわたって講義を行う。

その間も講演やら会議やらが多かったが,几帳面な湯川のこと,この間の講義の準備である,1200枚2400ページの英文講義録がすべて残っている。話題は「原子核物理学」「中間子論」といった彼の専門で,学生たちは完全に世界のトップの研究者からもっともホットな話を聞くことができたわけである。ここでも「もっと大きな声で」と学生たちに何度も
言われたそうだ。

いかに几帳面な性格だとは言え,毎晩あちこちへの手紙を書く,講演の用意をする,自身の研究を進め,論文に仕上げ,国際誌に投稿する中,毎回の講義原稿を作ったのである。やはり英語がすらすら書けるようになっていたのであろう。もともと語学の才能は豊かであったというよりも「書いた量」が彼の作文力をどんどん伸ばしたと考えるべきであろう。
(村田 年)

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