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まめに発表する ― まだ中途段階であっても聞いてもらう―湯川秀樹に学ぶ(1)

Posted on 2010年2月9日

*ともかく研究会が多い。湯川が初めて講師になった阪大では「談話会」「コロキウム」「雑誌会」「数物学会関西支部」とあり,毎週1,2回開かれ,読んだ論文の内容紹介,その論文の困難点の打開案,自分の研究の中途段階の話などを行った。

*理研でも「理論の会」「迷想会」「メソン会」「中間子討論会」などがあり,さらに各プロジェクトの検討会がいくつもあった。南部陽一郎など東大の若手の人たちもみなさん楽しみにして,やってきた。湯川は京大を定年になると,さっそく「混沌会」という会を作り,月1回出てくるのを楽しみにした。ほかに紀要の編集会議にも出席した。

*とにかく発表する。論文に書く。形にすることが大事。湯川は「アイディアが理論として実るのは「千三つ」である」と言っている。とにかく,千に3つしかものにならないのだ。思いついたら,人に言ってみる。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で,ともかく数を打たないことには始まらないわけだ。

*昭和10年代の理研の発表は,時間無制限,やりたいだけやらせる,があった。学会でも講演という名の時間無制限の研究発表があった。授業にもそのようなところがあった。 私は昔,理論物理の人たちと共同自炊をしていたが,夜中の12時過ぎに,ゼミが長引いちゃってなどと言って帰ってくることが結構多かった。(毎晩遅くて先生は大丈夫かしら,などと院生たちが先生の結婚生活を心配したことなどが思い出される。)

*「失敗談ばかりの発表会」も理研では開かれた。時間は20分だが,30分話しても,40分話してもよかった。余所行きの,いい話ばかりでなくて,失敗の話もどんなにか参考になったことであろう。

*時間無制限の授業も理学系には結構あったらしいが,留学から帰った人に時間無制限の講演をしてもらい,内容に疑問点があると,聞き手のだれかが出て行って,それはこうではないかと講演を横取りして,黒板を使って話し始めてしまうこともあったようだ。

★どのような仕事でも,自分のアイディアを発表する機会があるようにしたいですね★
★「時間無制限の発表会」「失敗の発表会」やってみたいですね★
(村田 年)

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