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日本の講義,英米の講義(上)

Posted on 2010年10月27日

1.はじめに
私の古巣の千葉大の元同僚の土肥允先生が「海外大学英語講義集」を編んで下さった。古代ギリシャ・ローマの哲学者を思わせる風貌の デイビッド・クリスタル(David Crystal)先生の名調子の講義に魅せられ,また,1000人を超える学生たちがだれひとり居眠りすることなく,惹きこまれ,つい発言の手を上げてしまうマイケル・サンデル(Michael Sandel)教授など,どれもおもしろく,何度も拝聴した。ちょっと下記をクリックして聞いてみて下さい。http://english-chiba-u.jp/youtube/menus/humanities.html

それでは日本の大学の講義はどうだろうか。最も豊かな公開講座は東京大学であろう。大学を代表する講義,シンポジウムなどが「俯瞰講義」という名称のもとにたくさん公開されている。講義はいわゆる総合科目で,4,5名の教授が大きな1つのタイトルのもと,代わる代わる講義を展開するものが多い。いずれも十分聴きごたえがある。ただし,ソフトは YouTube ではないので,Realnetworks社のReal Player(無料版)というソフトを入れる必要がある。このソフトを入れると,慶応大,早稲田大,明治大,上智大などほかにも多くの大学の公開講座を聴くことができる。http://ocw.u-tokyo.ac.jp/
この「Tune U」で世界の800大学,35万以上の動画ファイルが視聴できると解説にある。

もちろんほとんどの大学はなまの公開講座も開いているので,実際に出かけて行って,講義をじかに聴くこともできる。無料のものが多いし,新聞広告などでも探すことができる。

東大が最も盛んで,ほとんどすべての教員の講義が視聴できるようになっている。建前上はだが。実際には「建設中」であったり,不十分な短い(声だけで映像のない)講義だったりするが。同時に「講義ノート」を詳しく見ることもできる。昔ながらのわけのわからぬ講義(の一部)と講義ノートから,目をみはるばかりの優れた講義と講義ノートまである。

京都大学のように YouTube で視聴できる大学もある。http://ocw.kyoto-u.ac.jp/
また,湯川秀樹のようなノーベル賞学者の講義をインターネット上で探して聴くこともできるし,その論文の手書き草稿とその修正過程などを見ることもできる。湯川の集中講義が本になっていて図書館で読める。朝永振一郎が,読んだ教科書・参考書に書き込んだメモのあとを見ることもできる。出かけて行けば,湯川のコロンビア大学での講義ノート1,200枚を見ることもできる。

時間があったらパソコン上で世界の,あるいは国内のあちこちの大学を訪問してみるのもいいだろう。大学に限らず,病院などを訪問して,病気と治療についての情報を得ることもできる。例えば英国では次のものはお薦めだ。スクリプト(文章)もついている。
 http://www.nhs.uk/video/pages/MediaLibrary.aspx
 http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1009040
  (以上は,南かごしま日高病院内科の前田正彦先生より)

また,英米の放送局を訪問して,ニュースやインタビューや討論,講演を楽しむこともできる。放送の全文のスクリプトが出ていて,それを見ながら聞くことができる場合もある。http://www.voanews.com/english/portal.cfm
このサイトでアメリカだけではなく,世界中の様々な国のニュースなどの視聴が可能だ。どうぞお楽しみ下さい。
(村田 年)

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