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浅野:英語教育批評:英語教育とマスコミ

Posted on 2006年8月21日

 小泉首相が「公約を守っても、守らなくてもマスコミは批判する」とマスコミ批判をした。これもおかしな話で、「公約」というのは守るのが当然であるが故に、守ればよいというものではなくて、その内容が批判の対象になるのは当然である。だいたい公約をしてから5年以上にもなるのに、その間、国の内外の人々が納得のいくような説明責任を果たさないから、いつまでも問題にされるのである。しかも、8月15日の靖国参拝のあとの弁明も、感情的要素が強く、論理に飛躍があって説得力のあるものではなかった。
 もっとも、マスコミに批判される側になってみると、文句も言いたくなることがあるのも確かだ。英語教育の問題については、どうも取り上げ方が一方的だと感じることが多い。例えば幼児・児童の英語教育の問題では、テレビは子どもが生き生きと英語を話している場面ばかりを放映する。時に批判的な意見も加えるが、なにしろ映像の印象は強烈だから、その影響は大きい。「うちの子の塾(や学校)ではあんなにうまくは教えてくれていない。先生が悪いのだ」と思い込む親も少なくないであろう。これがテレビ関係者のねらいなのではないか。マスコミ関係者の多くは日本の英語教育を受けた人たちだから、英語ができない恨みを番組や記事にぶつけたいのではないかと思えるのである。
 しかし、考えてみれば、英語授業を受けた人に恨まれるようでは、英語教育は成功していないのだ。得手、不得手や好き、嫌いは何にでもついて廻るが、“恨まれるような”英語授業だけは避ける努力をしなければならないと思う。
(浅野 博)

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