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浅野:英語教育批評:英語テストのあり方

Posted on 2006年12月18日

 前回は、「英語のテストの結果が40 点や50 点でよいではないか」と主張したが、これは実践はしにくい。テスト結果が悪いのは先生の教え方が悪いからだと非難され、学校の評価を下げると猛反対を受けることになろう。ではどうしたらよいのか?
 粉飾決算のように結果をごまかしたくないので、まず出題の方法を工夫することを考えたい。テスティングについては、理論的な研究や問題作成技術を教える参考書も少なくない。そういう本で勉強することも必要だが、まずやるべきことは、指導項目の重要性の軽重を判断することだ。中学1,2年生の場合は、毎時間が新しい事項の導入とドリルに追われ、息つくひまもない。ろくに音声ドリルを受けないで、単語の意味やスペリングを覚えさせられるのはつらいことだ。また「3単現の (e)s」、およびその否定文、疑問文などは、1,2時間の扱いで身につくものではないのだから、誤解を恐れずに言えば、「いいかげんにして、先に進む」ほうが生徒も喜ぶ。3年間の長期目標にして、達成率が60%を越えれば上出来であろう。ただし、こういう軽重のある長期指導計画は、一人の判断では偏りも出るから、校内の仲間と、あるいは地域の研究グループ内で相談して、全体計画を作ることが望ましい。
 試験問題の方式としては、「次の空所に下の単語を正しい形にして入れなさい」といった問題は止めることだ。代わりに「次の絵を見て、その内容を説明する英文を3つ以上書きなさい」といったものにする。採点の際には、瑣末的な間違いは重視しないで、英文が大体通じるなら、5点満点なら3点か4点を与えるのである。これは1つのヒントに過ぎないので、まだまだテスト方法には工夫の余地があると思う。そして大事なことは、ドリルの方法とテストの方法をやたらと混同しないことだ。
(浅野 博)

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  1. 浅野先生のご意見に賛成です。評価の問題は、さらにつっこむと大学入試センター試験にまで踏み込むことになります。英学生の一人として、ぜひコメントをお願いします。


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