言語情報ブログ 語学教育を考える

浅野:英語教育批評:新入社員の傾向とは

Posted on 2007年5月8日

 オリコンの調査によると、今年度の新入社員には、「上司にタメ口をきく」、「ガムを噛みながら会社の電話に出る」、「勤務時間中も自分の携帯電話でメールをする」といった困った傾向があるという。そこで「ザ・ワイド」(日本テレビ系)では、各社の先輩社員 300名に、そういう無作法を経験したかどうかを調べたら、約三分の一が「ある」と答えたとのこと(4月24日放送)。
 団塊の世代が次々と退職していくなかで、新人がこういう状態では、会社の運命どころか、日本そのものの将来が危ないとさえ思える。そして、教育界も例外ではないであろう。もう10年も前に「今年の新人教員は先輩の言うことなど聞こうとしないから、ほとんど話はしません」という中堅教員の声を聞いたことがあった。
 企業であれば、業績が上がらなくなって経営危機になれば、自業自得だから反省のきっかけになるかもしれないが、教育ではその前に生徒が犠牲になる。そういう生徒が成長していけば、さらに事態は悪化するばかりであろう。「免許の更新制によって、能力のない教員は排除する」と政府は言うけれども、首になる教員が多いと、自らの監督責任を問われることを恐れて、教育委員会の隠蔽体質が動きだすであろう。
 黙々とやるべきことを果たしている教員も少なくないことを信じたいが、教員は問題点と解決方法を考える必要がある。1つの方法は、「英語教育」(大修館書店)の5月号が特集しているように、「英語教育の『連携』を考える」ことだ。しかし、水をさすようだが、もう50年以上も前に、私が高校教員になった頃から、「中高の連携を」などは繰り返し言われてきた。しかも、今の社会は「競争原理」優先である。学校も、面倒な「連携」をするくらいなら、中高一貫校にするとか、「教育特区」になるとかして、成果をあげたほうが早いと考えているのではないか。“日暮れて道遠し”である。
(浅野 博)

Comments (0) Trackbacks (0)

Sorry, the comment form is closed at this time.

Trackbacks are disabled.