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浅野:英語教育批評:文字を書くこと

Posted on 2008年9月28日

私は文字の手書きが不得意で、1970年代の後半からワープロに頼ってきた。活字を拾う日本語タイプライターを使ったこともある。あまりワープロに頼ると、文字が書けなくなるのは確かなようなので最近、NINTENDO DS の「美文字トレーニング」を始めてみた。
よくできているのは、筆で書くような文字が書けて、しかも、細かい採点と「中の下」「上の中」のような判定をしてくれることだ。コメントが、「力強い文字になっています。上下のバランスをもう少し考えるとよいでしょう」のように、「褒め言葉」を忘れていないのもよいことだ。
ただし、機械だから欠点もあって、「書き順」と「画数」を間違えると認識してくれない。しかし、書き順や画数などを気にしていると、形がうまく書けなくて、失敗することがよくある。ワープロにも手書き入力の機能があって、こちらは書き順や画数などにかまわず書いても、似たような文字を提示してくれる(ただし、候補が多くて選択に困ることもあるが)。機械というものは一長一短である。
そこで、英語の指導のことだが、中学生に英文を書かせる場合に、「筆順が違う」「縦棒が長すぎる」などと注意されたら、内容を考えるどころではないであろう。初期の段階では、もっぱら文字の形を意識して書くような単純な練習が必要なのだ。スピーキングの指導でも、ALT は、意味が通じればよいと、生徒の発音や文法の間違いには寛大な場合が多い。どちらにしろ、極端では一番効果がないであろう。
「書くことの指導」については、大井恭子編著『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館書店、2008)が出たばかりだ。これは題名でわかるようにかなり高度なライティングを目標にしているが、指導方法としては「入門」編で、中学・高校に分けて具体例を示している。教室現場としては、そこに至るまでの基礎的な訓練を工夫することであろが、時間不足という大きな障壁があることは悩みの種である。
(浅 野 博)

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