言語情報ブログ 語学教育を考える

浅野式辞典:「しゅがーしゃいん」(シュガー社員)

Posted on 2007年3月21日

「製糖会社の社員」のことだと思ったら、甘ったれていて、上司に叱られると会社を休んでしまうので、親が欠勤届けの電話をかけたりする社員だそうだ。カタカナを使うなら、「ダメ社員」でいいではないか。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★

浅野:英語教育批評:英語教育と「レトリック」

Posted on 2007年3月19日

 戦後間もない頃、ある大臣が当時はやりだした「エチケット」という語を「エケチット」と言って社会的な話題になった。当時私が教わっていた英語学の先生が、「このように音が前後してしまう現象を metathesis と言う」と説明してくれた。時宜を得た脱線話は何年たっても不思議と覚えているものだ。こういう「音位転換/転位」の例には「アキハバラ」→「アキバハラ」もある(これはどちらも使われる面白い例。略は「アキバ」だけ)。英語の例は、少し詳しい英和辞典なら示している。
 例の「女性は生む機械」については、「暗喩」(metaphor)」のことに触れて取り上げた英語教員もおられることだろう。政治問題としてでなくても、言葉の問題としても良い教材だ。学生も興味を示すに違いない。だいたい日本人は、「修辞学」などなかなか学べないのが普通だから、レトリックのことはほとんど知らない。もっとも表現の技術を得るには、良い文章をたくさん読むだけでも一般的には十分であろう。ことばの教員向きには、佐藤信夫企画・構成『レトリック事典』(大修館書店、2006)がある。英語の他にラテン語、独語、仏語などの用語も示してあり、その使用暦がくわしい。実例は日本語のものが主だが、コミュニケーション指導のためにも参考になる。中学レベルでも、like とか as の「〜のような/ に」を使った英文があったら、その譬えや比較が適切かどうかを考えさせたい。
 ところで、厚労大臣のあの言い方に奇妙な弁護論があることを知った(「週刊文春」2月15日号)。自民党のある議員は、「この大臣の発言を批判する人たちは機械をバカにしている」と言い、「コンピュータみたいな頭脳だと言われたら喜ぶのに」とも述べたそうだ。こういう“機械過信”は困る。航空機や原子力発電所の事故にしても、背後には機械の過信が潜んでいるはずだ。人間の考え方も愚かなことが多いが、だからといって、機械が人間なみに優秀だということにはならない。
(浅野 博)

浅野式辞典:「いもびらいざー」(イモビライザー)

Posted on 2007年3月13日

「イモビ」なんて言うから、どこかの美大の略称かと思ったら、特殊なキー以外ではエンジンがかからない車の盗難防止装置だってさ。「エンジン・イモビライザー」(engine immobilizer) が正式な名称だ。これじゃ、略すよりないか。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★

浅野:英語教育批評:「差」をなくす努力

Posted on 2007年3月12日

 英語教育では、これまでも「学力差」をなくす努力は長く続けられてきた。「動機付け」から「個人差に応じた指導をどうするか」など実践報告や書物も少なくない。一方、「習熟度別指導」は中学校段階では反対も多く、あまり実践されなかった。主な理由は、40人以上の大クラスでは効果が期待できないこと、また人格形成という観点からは望ましくない、などである。しかし、40人以下の学級が増え、ALT とのティームティーチングも普及したことなどの現象が、「習熟度別指導」の可能性を大きくした。学校によっては、1クラスを日本人教師2名が指導する場合もある。いずれにしても、生徒数減少という社会的現象が可能にしわけで、外国語教育のあり方という面からの積極的な意図が感じられないのは残念である。とにかく底辺を上げる努力は個別に対応してなされるべきで、「平均点が上がった」とか「東大合格者が5人増えた」といった視点では解決できない。
 生活上の「格差」問題も同じようなものだ。国会審議の問答を聞いていると、「統計上ではそういうケースは減少している」とか「その面では何十億円も予算をつけている」といった答弁が多い。確かに、総理大臣が「市役所の窓口でこんなことを言われたが、どうしてくれる」といった問題にいちいち答えられなくても止むを得ないかもしれない。しかし、政治の姿勢に底辺に対する暖かい“気配り”があれば、それが官僚や地方公務員を通して浸透していくことは不可能ではない。
 ところで、最近は“キャリア官僚”への応募が減っているらしい。表向きの理由は「独創的な仕事ができない」ということだが、「天下りができにくくなる」「マスコミや政治家からは叩かれる」という本音もあろう。“優秀な”官僚がいなくなると困るのは庶民だ。「今の若者は、“自分が好きなことをやれ”と言うと“自分勝手なことをやること”と勘違いをする」というのは、映画の井筒監督のことばだ。おかしな世の中になってきたものだと思う。
(浅 野 博)

浅野式辞典:「むてんかしょくひん」(無添加食品)

Posted on 2007年3月9日

 高校生は「無天下食品」と書く。かくして、多くの食品が「世界も国も無視する危険なもの」となる。どうせ間違えるなら、「無転嫁」と書いて、「問題が生じても責任は転嫁しません」というものにしてもらいたい。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★