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浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その10)

Posted on 2013年1月17日

 今日(2013年1月10日)のテレビ報道では、大型スーパーなどでは、万引きの被害額が全国で何百億円にも及んでいて、万引きするのは、多くが老人とのこと。弁護士は、「病気なのだから、判決後は適切な施設で矯正させるべきだ」と主張しているらしいです。

知ったかぶり老人:万引きね。昔は、「1つ盗んで、万引きとはこれいかに?」なんて言ったものさ。“はしか”みたいなもので、誰もが1度はかかるものだよ。中学生ギャル:私は1度万引きして捕まったことある。引き取りに来た担任の先生から、「学校の不名誉になるから誰にも言うな」と口止めされた。みんな自分のことしか考えていないんだと思ったよ。

くそ真面目男子高校生:万引きが“はしか”だなんて絶対にうそです。ぼくは万引きをやりたいと思ったことなど1度もありません。“病気”ならば必ず治せますよ。ぼくは医学の進歩を信じます。(この回終り)

「カタカナ英語の氾濫」について

Posted on 2013年1月10日

(1)私はこれまでも、日本語の中の不必要な英語使用を度々批判してきました。しかし、その傾向は改善されるどころかますますひどくなる一方のように思えます。“でたらめな英単語使用”は、英語学習のためにもならないと考えていますから、今後も批判を繰り返していこうと思います。

 

(2)先日もラジオを聞いていたら、「その選択が有権者にとっては、“ベストミックス”だろうね」とあるコメンテーターが言っていました。どういう意味で使ったのか、確かめようがありませんが、このコメンテーター自身も説明出来ないのではないかと思いました。「いろいろ選択肢があるほうが、選ぶ国民の側には良い」くらいの意味かも知れません(英和辞典で、”mix” の名詞用法を調べてみてください)。テレビでは、「つまり“アウトクライ”するわけですね」と言う人もいました。「強く抗議する(”outcry”)」の意味でしょうが、カタカナ英語を使う必要は全くないわけです。

 

(3)音声面について言いますと、私は、”t” と”r” を繋げた音を、「ツ」で表すのには抵抗感があります。「そんなのは“クリスマス・ツリ―”でお馴染みだし、新名所の“スカイツリ―”だって、何の抵抗も無く受け入れられているではないか」と反論されるかも知れません。しかし、昔は野球の実況放送でも、「あの打者の“バッチング”は・・・」などと言っていたのが、“バッティング”と言うようになりました。“クリスマス・ツリ―”も、やがて、“クリスマス・トゥリ―”のように言えるようになると思うのです。

 

(4)東京新聞には、直木賞作家の大沢在昌が、「雨の狩人」という小説を連載していますが、1月6日(日)の書き出しでは、「…カウンターのストゥールから床に…」のような書き方をしています。“スツール”は広辞苑にも「背もたれのない一人用の腰掛」と出ていますが、私は、そういう表記に従わなかった作者の“音”に対する感覚に敬意を覚えました。作家でなくても、ラジオやテレビで発言する評論家は、もっと使う言葉に敏感であって欲しいと思うのです。

 

(5)トーク番組などで気になる口癖は、「何と言いますか…」とか、「どう言ったらいいかわかりませんが・・・」という言い方です。誰でも、発言に行き詰ることはありがちですが、あまり同じような言い方が繰り返されると、「この評論家は本当に視聴者に向かって意見が言える人物なのであろうか?」と疑問を抱かざる得なくなります。発言者は、言い足りなかったことを思い出したら、司会者に断って補足をすれば済むことだと思います。

 

(6)それにしても、ラジオはともかく、テレビ番組は、忙しい作り方をするものです。CM (これも日本語的省略です)が入るのは仕方がないとしても、30秒で結論が出るような問題をだらだらと小出しにしながら続けるのは感心出来ません。しかも、議論が盛り上がると、結論は出さずに次の話題に転換してしまうのです。「ビート・タケシのTVタックル」(朝日テレビ系)などが典型的なものです。

 

(7)バラエティーにしろ、政治問題にしろ、司会者と言えば、ビートたけし、さんま、みの・もんたくらいしか出てこない日本のテレビはどうかしています。しかも土曜日の番組などは、ほとんど自局の番組の宣伝で、中味のある番組が無いのです。これでは、広告も映像もインターネットに奪われてしまうのも分かります。もう後の祭りではないかと心配です。(この回終り)

浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その8)

Posted on 2012年12月19日

2012年の漢字」は、「」となりました。オリンピックで活躍したスポーツ選手の功績を思い出して、せめて暗い年の瀬を明るくしようという狙いでしょうが…・

ボケ老人:(かね)」ね、そうこの世で一番大事なのはおだよ。わしは冥土の土産にしこたま貯め込んでおるよ。

中学生ギャル:金メタルなんて、私に関係ないよ。それより、母ちゃん、私の小遣い上げてくれないかな。そしたら、貨の形をしたチョコレート買って上げるのに。

くそ真面目大学生男子:ぼくは、今年の漢字は「」だと思います。夏は暑ぎるし、冬は寒ぎます。警察や工事責任者などの失も多いですし、来年は無事にごせるか、とても心配です。(この回終り)

「大学の教育改革の困難さ」を考える(その2)

Posted on 2012年12月14日

(1)大学という組織は、外部からは見えにくい複雑さと隠ぺい性があります。そうでなくても、「大学は学問研究の場」とか「最高学府」と呼ばれて、「自分たちとは別世界」といった意識が庶民の間にはあるのではないでしょうか。「権威に弱い」という封建的な国民性の一端と言えるかも知れません。時代劇「水戸黄門」の「この紋所が目に入らぬか」は、無意識のうちに日本人の国民性の一部を形成してきたと思います。

 

(2)しかし、今日では、大学教員の不祥事、とりわけ性犯罪が多くなって、大学と大学教員の評価を下げてきたことも事実でしょう。政治家の場合と同じように、一旦地に落ちた評価を回復するのは容易なことではありません。しかも、大学教員の場合は、総選挙の結果のような判断基準がありませんから、なおさら意識しにくいのです。果たして「自己改革」を大学関係者に期待することは出来るのでしょうか。

 

(3)大学は「権力闘争の場」と言っても過言ではないと思います。それは、学内の昇進人事や採用人事の際に目立つようになります。権限を有する一部の教授に嫌われたら、助教授(准教授)のままにされることがあったり、採用人事が進まないことがあったりするのです。しかも、大学の議事録などは公開されることがありませんから、内部の者でも経過を知ることは不可能なのです。

 

(4)1972年頃に、アメリカが沖縄を日本へ返還するに際して密約があって、米軍が払うべき費用を日本が肩代わりしたことは、今はネット上で明らかになっています。しかし、当時の日本の政治家たちは、少数野党を除いては、ほとんど無言でした。「出る杭は打たれる」で、黙っていたほうが保身に有利だと考えたからでしょう。大学関係者についても同じことが言えるのです。「権力闘争の場」では、「おべっかを使って、巧みに世渡りをする人間(英語で言う “apple-polisher”)が増えるのです。ちなみに、この英語の表現は、成績を上げてもらいたくて、先生におべっかを使う生徒の行為から生まれたようです。つまり“幼稚な行動”なのです。

 

(5)文部省(文科省)も、大学の実態にメスを入れたがらなかったのは、いずれ自分の天下り先になる大学へ余計な口出しをしたくなかったからと思われます。役人の天下り先としては、「なんとか財団理事長」といった役よりも貰う給料ははるかに低いでしょうが、執筆やテレビ出演などのアルバイトがしやすいことも魅力なのでしょう。もちろん大学教授の全てが“天下り”ではありませんが、テレビのコメンテーターに大学教授になっている元高級官僚が結構いるのは確かです。

 

(6)大学改革の大きな要因の1つになったのは、“少子化”だと言えるでしょう。受験生が来ないのでは、大学の存在意義が無いわけですから、現在では、ほとんどの大学が受験生集めに懸命です。したがって、入学してくれた学生には甘くなりがちです。ということで、結論は前回と似たものになってしまいました。果たして、総選挙の結果で大学は改革されるでしょうか。とても心配です。(この回終り)

浅野式現代でたらめ用語辞典(再開その7)

Posted on 2012年12月3日

「新党名」選挙に備えて、幾つもの新しい政党ができていますが、一夜にして変わったりするので、庶民には迷惑な話。

ボケ老人:糖尿?聞いただけでもそっとするね。違う?党の名前?わし知っとるのは、民正党だな。それから大政翼賛会になった。おれのことをバカにしてはいかんぞ。

中学生ギャル:今度の期末試験に「新しい政党名を書け」なんて出るのかな?とても覚えきれないよ。それで、生徒の学力低下なんて政治家は言わないでもらいたいな。

くそ真面目男子高校生:今、一生懸命に政党名を覚えているところです。でも未来のことまでは分かりません。今の政党だけにして欲しいです。(この回終り)