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『湯川秀樹日記』を読む ― ノーベル賞論文の発表と執筆の頃 (1)はじめに

Posted on 2009年12月12日

古本屋の店先に積んであるゾッキ本の山をぼんやり眺めていたら,「湯川秀樹日記」という文字が目に入る。湯川は日記を書いていたのか。新聞などの写真ではいつもきちんとした人だな,天才の異常さがないな,と思っていたが。伝記を読んだこともなかったので,この日記を読んでみることにした。
*小沼通二編『湯川秀樹日記―昭和九年:中間子論への道』朝日新聞社.2007.

湯川のノーベル賞受賞の報道が新聞・ラジオを賑わせたのは,1949(昭和24)年11月のことで,私は小学校の6年生であった。まだ敗戦の傷を引きずっていた頃に,これほど明るいニュースはなかった。私はまったく勉強しない生徒だったが,先生が「小学生新聞」を片手に,「原子核の中の粒子をとめておく糊のような役割をしているのが「中間子」なんだ」と説明されたのを覚えている。

天才湯川の研究生活は,われわれ教師が学び取るところが多いと思われるが,おそらく,会社に勤める事務職の人にも有益な示唆を与えるものと思う。現代は単に与えられた仕事を真面目にこなしていればいい時代ではなくて,だれであっても現状を見極め,将来への提案を考える時代で,すべての人はアディアを求められていると思うので,この日記から
多くの示唆が期待できるであろうと思った。
(村田 年)

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