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(5)談話会 ― 研究者の意見の交換(『湯川秀樹日記』を読む ― ノーベル賞論文の発表と執筆の頃)

Posted on 2009年12月16日

*4月4日 「朝,講演をすまし科学博物館へ,朝永,小島,木村君と行く。」
これは,湯川が取り組んでいるもうひとつ別の問題について,「相対性量子力学に於ける確率振幅に就いて」と題して,日本数学物理学会年会で発表したものである。原子核の核力の謎が堂々巡りで,どうしても進まず,ひとまず別の問題を考えることにしたと推察される。これが2つ目の学会発表である。

*4月21日 「沢田君より,談話会幹事譲らる。」
小さな研究会がたいへん多い。湯川はこれより談話会の幹事になる。発表者2名を頼み,郵便での連絡もする。ほとんど毎週木曜の午後に開いている。また,土曜の午後には「コロキウム」(原子核についての談話会)を開いている。さらに「雑誌会」と称する会も土曜の午後に開いている。雑誌会とは紀要委員会のようなものらしいが,ここでも1,2名が順番に発表している。読んだばかりの文献の概略説明,批判,困難点の解決法の提案など,論文になる前の段階を出し合って,たたき合っている感じだ。
(村田 年)

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