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(7)問題点は絞られる(『湯川秀樹日記』を読む ― ノーベル賞論文の発表と執筆の頃)

Posted on 2009年12月18日

*5月6日 「七時半起床。Fermi Neutrino を読む。」
*5月9日 「Neutrino 問題を考究。」
*5月31日 「四面楚歌,奮起せよ。」
続いて,フェルミのベータ線放出理論の論文を読み,一瞬先を越されたかと湯川は思った。しかし,よく検討してみると,まだ自説の入る余地はあると思い直した。湯川は悩む。核力の場に付随する粒子を,既知の素粒子の中にさがし求めることはやめよう。核力の場の性格を追及してゆけば,それにふさわしい新粒子の性質もきまるであろうと決心する。(★これがやがてそのままノーベル賞論文につながっていく。)

が,しかし,世界の学会の大勢は既知の素粒子だけで説明し尽そうとしている。それからさらに,考えては行き詰まる,また考える. . . 湯川は考えに集中すると部屋の中を歩き回る。ぶつぶつ言う。考えてはまた最初に戻るのを繰り返すのだった。
(村田 年)

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