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(9)自説をみんなに話して確かめる(『湯川秀樹日記』を読む ― ノーベル賞論文の発表と執筆の頃)

Posted on 2009年12月20日

*10月 9日 「γ’rayについて考える。」
*10月10日 「γ’rayの考えを坂田君に話す。」
*10月11日 「γ’rayの話,菊池さん等と話合ふ。」
*10月12日 「登校,相変わらずγ’rayのことを坂田君と議論する。」

γ’ray(ガンマ・プライム・レイ;日本語流に読めば,ガンマ・ダッシュ・レイ)。ガンマ・レイは光子(こうし)。光を粒子と見たときの粒子,すなわち電子。ダッシュをつけて,「光子まがいのもの,光子に準ずるもの」という意味か。このダッシュに新しい粒子という意味を込めたのであろう。

このとき,のちに「湯川ポテンシャル」と名づけられる「核力の式」と「クライン・ゴルドン波動方程式」が初めて湯川によって結びつけられた。そのあとの分析・計算は友人である朝永に送ってもらった詳しいメモが役立つのである。★これで(ノーベル賞論文になるはずの)論文の骨格はできあがる。
(村田 年)

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