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5.物理学会の英語添削者レゲットさんの提案(湯川秀樹の英語力-その2)

Posted on 2010年1月29日

日本物理学会の紀要論文の英文添削者のひとりであり,物理学者のレゲットさんは,日本人物理学者の英文について,次のような分析をしている。

「日本人の文章構成は,枝葉,具体例などspecific なことから話が始まり,それがまとまってやがて中心線へと至る。するとまたspecific なことがらを紹介し,同じように中心線へと至る。そのような繰り返しによってやがて中心テーマが明らかになり結論に至る。

いっぽう英語国民の場合は,話は中心テーマより始まり,そのテーマの補強として理由,説明,言い換え,実例などが示される。しかし,常にテーマ中心で,そこから大きく逸脱しないような配慮が一貫してなされる。」(★下図を参考にされたい。)

レゲットさんは長い間の物理学会の英語論文添削で,単に字句を改善しただけではだめで,日本人の論文の場合,論文の構成全体をある程度入れ替える必要があると思われて,学会の紀要の中に上記のような記事を書き,研究者の意識の変革を促したのであった。
(村田 年)

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