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まとめに替えて―湯川秀樹に学ぶ(1)

Posted on 2010年2月5日

はじめに
小生は大学の教師であり,この拙いエッセーの読者も大部分は大学の英語英文学関係の研究者なので,その観点から見て,学ぶべき点を書いたが,広くどのようなお仕事に従事しておられる方にも「自律(学習)」「自身の考えを持つ」といった点で参考になると考えております。

(1)人と話す,議論する
*湯川は最初の(ノーベル賞につながる)論文のアイディアをつかんだとき,何度も同僚に話し,確認し,機会をとらえて,いくつもの研究会で発表し,そののち論文にしている。専門が同じ助手の坂田とは毎日のように議論し,「コロキウム」で話し,「談話会」で話し,主任教授の菊池(実験物理)の反応も確かめ,発表の前に理研の主要メンバーにも話している。

*相手が聞いてくれそうもなくても,無理にでも話を聞いてもらう。これが自分の考察の整理,よいヒントになるようだ。

*随筆家・物理学者として有名な寺田寅彦(東大教授)でさえ,随筆の種を理研に来ては話し,受けるかどうかを確認してから文章にしていたという。

*いっしょに昼の弁当を食べる。夜の会食をする。弁当を食べながらいろいろな話をする。湯川は46歳で 基研(基礎物理学研究所)の所長になって以来,毎日基研の用務員室の畳に座ってみんなといっしょに愛妻弁当を食べながら,話に花を咲かせた。つい2時間以上 にも及ぶことがあり,用務員さんの邪魔になるというので,所長室の一角の応接室へ移動して,定年まで弁当会は続いた。そこから世界的な物理学者がたくさん巣立っていった。

★アイディアをつかんだと思ったら,何度でも人にぶつけて確認する。盗まれたらなどと思わないで★
(村田 年)

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