言語情報ブログ 語学教育を考える

研究プロジェクトの組み方(1)

Posted on 2010年2月20日

はじめに
昨年の9月に私どもの英語辞書研究会が世界に問うた英文論文集が大きな賞である「JACET賞 学術賞」に輝いた。この機会に,応用言語学・英語教育学における研究のやり方について,特に共同研究のプロジェクトの組み方について,私の小さな経験の一端を書いてみたい。外国語教育に当たっている方々だけでなく,どのような仕事に携わっている方にも参考になるように心掛けたい。

私程度の者が「研究法」について書くというのはお笑いだ。が,どうしてそんなことを思いついたかと言うと,以前「研究発表の仕方」というエッセーを書き,これが予想外に好評で,もっとも多くの返事をいただいた。今でもお会いしたときにそのテーマに触れる方がいて,世の中には研究発表の仕方や研究論文の書き方といったハウツーものは多いにもかかわらず,求めている人がたくさんいると,改めてわかったからである。

それで,拙い経験であっても多少の参考になるかも知れないと思い,書き残すことにした。話は相当大袈裟で,どうしても自慢話めいてくる。笑いぐさであろう。

私が関わってきた応用言語学・英語教育学の分野では個人で行う研究活動も大事だが,それ以上に重要な活動に同好の士を募ってプロジェクトを組むことがある。研究結果を実際の外国語教育に役立てることがこの分野の目的と言ってもよいほどなので,個人よりも団体で行う研究の意義が大きいのがわかろう。

プロジェクトを組んで,科研費補助を申請するのが普通のこととなった最近では,大きなプロジェクト,優れたプロジェクトがたくさん見られるし,パソコンとメールを使って,以前とは比べものにならないほど楽に仕事を進めることができるようになった現在,時代遅れの話になるかも知れない。

これから紹介する最初のものは,郵便で連絡するもので,まったく古いやり方だが,方法の基本のところはいっしょではないかと思う。

  1)英語総合教材作成プロジェクト
  2)英語学習語彙リスト作成プロジェクト
  3)英語辞書研究会の立ち上げ

参加したプロジェクトの中のこの3件について,この順で説明したい。3件のプロジェクトはすべて,大枠ではJACET(ジャセット。大学英語教育学会)という大きな学会の中のひとつのグループの活動として組織されたが,外からの入会もあり,任意の,自由な組織で,校務・給料とは直接の関係がない,参加しても,しなくてもいい仕事という点に特徴がある。

★人は直接給料・任務に関係ないところで評価される場合も多い★
(村田 年)

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