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マッカーサーの愛誦詩「青春」岡田義夫の名訳

Posted on 2010年5月12日

2.岡田義夫の名訳
それでは広く行き渡っている岡田義夫訳で「青春」の全体を見てみよう。
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   青  春           原作 サムエル・ウルマン
                 邦訳 岡田 義夫

青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相(ようそう)を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦(きょうだ)を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。

年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いが来る。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。苦悶や狐疑(こぎ)や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰(あたか)も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥(あくた)に帰せしめてしまう。

年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。曰く、驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰、事に処する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。

人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる、
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる、
希望ある限り若く  失望と共に老い朽ちる。

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力の霊感を受ける限り、人の若さは失われない。 これらの霊感が絶え、悲嘆の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、皮肉の厚氷(あつごおり)がこれを堅くとざすに至れば、この時にこそ人は全く老いて、神の憐れみを乞うる他はなくなる。
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この訳はリーダーズ・ダイジェスト版に依っている。1945年に目にして惚れ込んだ岡田氏は翌年日本語に訳し,紙に書いて壁にはっておいた。それを見た友人の森氏は書き取って持ち帰り,のちに新聞に発表する。敗戦に打ちひしがれた財界トップから若い社員にいたるまで,この詩からどんなにか勇気と情熱を得たことであろう。
(村田 年)

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