言語情報ブログ 語学教育を考える

4.短所を補う努力が必要

Posted on 2010年12月31日

15歳児の国際学力テスト(理科数学,TIMSS)では,日本はいつも第1位であったが,10年後の35歳時における科学技術に関する成人調査では,18ヵ国中13位で下位グループであったという。ここからわかることは,日本の理科・数学の教育は定着率が低いということであろう。

計算や因数分解といった基礎訓練が勉強だとして,まったく生活や将来との関係を考えさせない教育のひずみが出たのだと推定できる。

一方PISAテストで世界一になったフィンランドにも悩みはある。フィンランド大使館員からフィンランドでの教科書編集者に転じた北川達夫氏によると,フィンランドの中学生対象に「日本に関する作文コンクール」をしたら,応募者の作文があまりにもひどいので,フィンランド人と日本人の審査員一同たいへんに驚いたという。あまりにも字が下手,つづりの間違い,文法・語法の間違いなどがたいへんに多かったという。先生たちの研究会でも,また,父兄からも基礎教育の重視をとの要望が強く出て,2004年に学習ガイドラインを改定したが,一度あちらに振った振り子はなかなか戻らないようだ。
(村田 年)

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