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浅野:英語教育批評:英語教育と日本語のこと

Posted on 2006年8月2日

 学校教育では英語ばかりでなく、日本語の力もつけなければならないとされている。これは多くの英語教師や国語教師にとってやさしいことではない。まず英語教師はどれだけ日本語を知っているかを反省したい。しかも、「知っていることと教えることは別のこと」と言われるから、知っているだけでは十分でない。 
 例えば、「of course =もちろん、と考えてはいけない」と生徒に注意する。確かに英語と日本語を1対1で覚えるのは危険だが、“of course” と同じように、「もちろん」をどういう場合にどう使うのか、きちんと教えられるだろうか。
 7月25日の NHK の「気になることば」では、「なるほど」を取り上げていた。「なるほど」を目上の人に使うことに抵抗を感じるという投書を紹介し、「なるほどですね」と言う人もいるがこれはどうであろうかとか、いろいろ問題点を指摘していた。日常の日本語にも「気になることば」はたくさんある。書物では、定延利之『日本語不思議図鑑』(大修館書店、2006)が、さらに微妙な相違に触れていて面白い。
 「英語教育」誌(大修館書店)は、たまに「英語力と国語力をともに育てるには」(5月号)といった特集をするだけでなく、英語の語法にくわしい Question Box があるのだから、毎号に「日本語質問箱」も設けて、英語教師を啓蒙してもらえると有難い。ある程度日本語についての批判力がないと、東照二『歴代首相の言語力を診断する』(研究社、2006)などを読んでもよく分からないことになろう。
(浅野 博)

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