言語情報ブログ 語学教育を考える

「『英語教育』誌(大修館書店)批評」(その16)(無理せずできるアウトプットの評価とテスト)

Posted on 2015年1月15日

(1)『英語教育』誌 2015年1月号の特集の1つは、「無理せずできるアウトプットの評価とテスト」ですが、私はまず、“アウトプット” (output) の定義を確認しておきたいと思います。英語教員でも、「話すことでしょう?」のように自信の無い返事が返ってくる場合があるからです。

 

(2)今回の第1特集の表紙には、次のような説明があります。「従来の読む・書くに加えて、聞く・話すといったアウトプット型スキルの評価やテストについて、今後いっそう系統立った指導と評価の一体化が求められそうです」(部分引用)とあります。つまり、この場合の“アウトプット”は、“話す”“書く”という技能を意味していると考えられます。

 

(3)私も現役の英語教師として高校生を教えていた頃は、学年末は特に忙しい思いをしました。期末試験の採点、担任しているクラスの生徒の総合評価、親との面談など、ずいぶん“無理をした”記憶があるのです。そこで、今回の特集のように、“無理せずできる方法”があるならば、今からでも教わりたいという思いで、記事を読み始めました。

 

(4)最初の「教室でのスピーキング・ライティングの評価とテスト」については、特集全体に言えることですが、“評価とテスト”は、順番を逆にすべきであろうと思います。“テスト”は“評価”のための1つの方法だからからです。後の記事のタイトルを見ても、「ライティング指導・評価のありかたとは」、「スピーチコミュニケーションの評価」などです。「ライティングの評価とテスト」というのもあって、書き手が勝手に、視点を変えているように思えます。それなら、無理に“特集記事”として縛る必要はないでしょう。「指導法と評価のあり方」とでもすればいいことだと思いました。

 

(5)第2特集は、「『ジーニアス英和辞典 第5版』にみる「英和辞書の変化・英語の変化」です。直接に生徒の指導に結びつくものではありませんが、関心を持つ英語教師は少なくないと思います。例えば、wearable (身に付けることができる)という形容詞は、用途が急速に拡大しています。『ジーニアス第5版』は、”wearable computer” の例を示していますが、現在は、『眼鏡に仕組まれたパソコン』があって、“視線の動きで必要な情報を得られるもの”など実用化が急速に進んでいます。

 

(6)英語学習の目的としては、ただ流行を追うべきではないのは当然です。現在は、腰を落ち着けて英語教育の方法と目的を考え直す大事な時期なのだと私は思います。(この回終り)

Comments (0) Trackbacks (0)

Sorry, the comment form is closed at this time.

Trackbacks are disabled.