言語情報ブログ 語学教育を考える

6.「JACET8000」の完成

Posted on 2010年4月15日

発会当初以来3年間のわたる紆余曲折を経て,1年以上もの遅れもあって,2003年の3月に改訂ではなくて,新語彙表として刊行された。

●『大学英語教育学会基本語リスト』(略称「JACET8000」)(JACET基本語改訂委員会編,2003)

「JACET8000」は,日本人としての英語学習の1つの完成形態,すなわち,日本人として最低この8000語をマスターすれば,英語を使って仕事を進めていくことができる,と言えるひとつの完成レベルの「英単語リスト」である。(ここに至るに際して竹蓋幸生先生(千葉大学)の助言を得た。)この8000語は,1000語ずつに区切られていて,どこで切っても使える。ある大学生は4000語までとして,また別のクラスでは5000語までとして使うことができる。

以上,プロジェクトの発端を中心にごく簡単に経緯を説明した。今やすでに「JACET8000」はさらなる改訂の時期を迎えている。資料がやや古くなっている。資料に偏りがある。最初の1000語は中学語彙としては無理だ,3000語も高校語彙としてはかなり無理なところがある。このへんをどうするか。語彙表を分けるか,1本でいくか。再考の要があろう。

★若い6名の編集委員のみなさんは今や英語語彙研究の中心的存在となられている★
(村田 年)

5.仕事の段取り

Posted on 2010年4月12日

文献資料収集グループ,データ処理グループ,既存語彙表検討グループ,サブコーパス(サブ言語資料)作成グループ,その他各管理部門に分かれて,どんどん仕事は進められた。

最初は各グループに具体的な仕事をやってもらったが,やがて,すべての仕事を集約して「JACET8000」にまとめあげるための「編集委員会」が組織され,その後長期にわたって,この編集委員会が中心となって具体的な仕事が進められ,他の委員からは意見と判断をいただくようになっていった。
(村田 年)

浅野式辞典:「しむかーど」(SIMカード)

Posted on 2010年4月10日

 ケータイ電話に関係のある用語だが、理解するのは難しい。ITの用語は理解できなくても、機器を使えればよいと割り切るよりない。高校生の声は;
A(知ったかぶり):ああ、それはね、新しいシミ取りの薬品のことよ。よくシミが落ちるよ。
B(親不孝者):このカードがあれば、親父のケータイを使えるらしい。使用料も払ってもらえるよな。
C(自称ロッカー):「シムロック」とも言うよ。待ち受け画面のロックミュージックのことさ。おれなんか毎週変えているよ。

4.基本語改訂委員会の立ち上げ

Posted on 2010年4月9日

もう迷っている暇はなかった。会長さん,何人かの理事に相談し,その了解を取り,名古屋のK先生に,私が委員長をやるから,副委員長をとの了解を取り,すぐに理事会に改訂委員会の設置を提案した。

2000年1月に「基本語改訂委員会」設置の認可が下り,さっそく「JACET通信」で,辞書研究会のMLで,研究企画委員会の席上で,適当な人を1本釣りで,と,できる限りの手を尽くして呼びかけた。

思ってもみなかったが,委員希望者は70名に達した。70名全部を受け入れて,さっそくメーリングリストを通じて,英語教育と語彙,大学生の語彙力,語彙指導,語彙表のあり方,語彙表の大きさ,その他について意見交換を行うことにした。毎晩の意見交換は活発に行われた。「船頭多くして船山に…」といった批判・忠告が何人かの理事からあった。が,私にとっては以前の郵便に比べれば,メールを使えるなら,何人いても大丈夫だと思われた。5月に設立総会を開き(53名出席),常任委員,編集委員,各作業部会を決め,順調に動き始めた。

★案ずるより産むが易し。挑戦すれば道は開ける★

●ここまでが私の仕事で,この先は優秀な各委員がそれぞれグループを組んで仕事を進めてくれた。(私にはパソコン上でコーパス(言語資料)を動かして統計処理をする技術はなかった。)
(村田 年)

3.新たな改訂への動き

Posted on 2010年4月6日

1999年になって,名古屋のK先生から「JACET4000」を電子化して,高校語彙表,ESP(各専門分野)語彙表などとぶつけて,新たな語彙表を作り,それをCD-ROM にしたいとの要望が出た。それを売ってJACETの資金にすることもできるでしょうとの提言も受けた。

この要望は理事会にはかって了承を取り,K先生と少し情報交換しているうちに私にある考えが閃いた。「なにも役員を当てにする必要はないんだ。全国の会員に呼びかけて,メールで仕事を進めればいいのだ。関東の人材ばかり見ていたから,役員ばかり見ていたから,人がいなかったんだ」と。

★自分の近くばかりでなく,広く同好の士を探すべきだ★
(村田 年)