言語情報ブログ 語学教育を考える

浅野式辞典:「かぶかげらく」(株価下落)

Posted on 2009年3月6日

「かぶ」というと野菜のカブしか思いつかない人が増えて、「値段が下がったなら、いつか出来過ぎたキャベツをブルドーザーで踏みつぶしていたように、捨ててしまえばいい」と考える。そのうちに株券をビルの上からばらまくことが起きるかも知れない。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano's Japanese Dictionary of Current Word★★

浅野:英語教育批評:「無意識に使い分ける」ということ

Posted on 2009年3月2日

 NHK テレビの「気になることば」で、「数字の9はどう読むか」ということを取り上げていた。アナウンサーは「2009年」を「にせん“く”ねん」と言うらしいが、一般の通行人に尋ねると「“きゅう”ねん」と言う人が多い。確かにニュースでは、「2009年度予算」は「“く”ねんど」だ。しかし、「台風9号」は「“きゅう”ごう」だ。「三三九度」を「“きゅう”ど」と言う人はまずいない。理屈はわからないが、そういう言い方は耳にしたことがないからだと思う。そこが、母語としての言語習得の強みだ。番組では、「私たちは無意識に使い分けているんですね」と言っていた。
 数日後には、「行く」は「いく」か「ゆく」かを問題にしていた。これは人によって差があるようだ。国語辞典でもそうだが、「いく」は口語的、「ゆく」は文語的という区別があるという。これも、一定の決まり文句では、どちらでもよいというわけではなく、「行く年くる年」「去り行く夏」などは「ゆく」と言うほうが普通だ。「どちらを使いますか」と問われると迷うが、日常は無意識に使い分けている。
 この「使う」というのは、「遣う」という漢字もある。どちらでもよいようだが、昔は区別をしていた。「小遣」と「小使」では意味が違う。「よい」も「いい」もどちらもある。戦後の日本語には「どちらでもよい」という語法が多くなった。教育の普及のための簡易化だ。でもこれは日本語の乱れのきっかけともなってしまった。異常気象で草木や動物にも異常現象が生じているように、母語を育てる環境が破壊されてきている。
 そこで、意識的に学ぶ第2言語としての英語などでは、逆に厳しさを追求しがちだ。複数形のS を落とすだけでも試験では減点される。実際には教育効果はあまりない。現に日本映画がオスカーを受賞したことで、日本人レポーターの多くは「コングラチュレーション」「デパーチャー」と言っていた。「ことばの習得には「どちらでもよい」という適度の“ゆとり”があることが望ましいのだが、学校では「日本語はいいかげんに」「英語は厳密に」と両極端になっているのではないか。これでは「日本語もダメ、英語もダメ」という人間しか育たない。
(浅 野 博)

浅野式辞典:「かぜぐすり」(風邪薬)

Posted on 2009年2月24日

用量を超えて服用すると酩酊状態になり、世界に恥をさらすことになる薬。アルコールと併用すると効果倍増で、大臣といえども首になる。新たに「重要な会議の前には服用しないこと」という注意書きが加えられる。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano's Japanese Dictionary of Current Word★★

浅野:英語教育批評:「自分を見つめ直すこと」について

Posted on 2009年2月19日

 スポーツ選手はたいてい30代で引退するから、それからの長い人生をどう過ごすかを考える必要があることはよくわかる。「自分を見つめ直すために長い旅に出る」などと、引退した選手が言うとカッコいいとも思う。でもそんなことが出来る選手は極めて数が少ない。まずお金と時間の余裕が必要だ。だから多くの英語教師には夢のような話だ。学校では30代になると、校務は増えるし、家族もいる。2,3年留学したいと思っても困難な場合が多い。
 こんなことを考えたのは、「英語教育」(大修館書店)の2009年3月号の特集「英語教師として自分を見つめ直す方法」を読んだからだ。まずそんな「方法」があるのかと疑問に思った。
主要記事のタイトルから、専門用語と思われるものを抜き出してみると次のようになる。
「リフレクティブ・プラクティス」「アクション・リサーチ」「ポートフォリオ」「言語教師認知研究」「FDの挑戦」「Can-Do フィードバック」「教師バーンアウト」
 私などへそ曲がりだから、この特集は「こういうことを知っているか?知らなければ勉強せよ」と言っているような気がして、「やれやれ反省するのも大変だ」と思ってしまう。私なら、「短時間でも禅寺で座禅を体験してみよう」とか「高い山の頂上で大自然を眺めてみよう」とか言ってみたい。多少でも余裕があるなら、行ったことのない、英語圏以外の国へ行って、全く違う言語を話す人々の雰囲気に触れるのもよいであろうと思う。大昔から、「己を知れ」と言われてきたのは、それがいかに難しいかを語っているのではなかろうか。
 まるで、教育ママにせかされる子供のように、免許更新だ、研修会だ、TOEIC だ、英検だ、とせかされている教員に「もっと勉強せよ」とは言いにくい気がする。もちろん、英語教師に勉強が不必要とは言わないが、勉強は強制されたのでは効果が上がりにくいということは、教師が一番知っているのではないかと思う。
(浅 野 博)

浅野式辞典:「かんぽのやど」(かんぽの宿)

Posted on 2009年2月14日

「簡易保険」の意味さえ知らないでたらめ定義ワースト3:
(1)「はにゅーの宿」の英語版。
(2)安保反対の学生たちが泊ったホテル
(3)漢方薬の入った料理を出す旅館

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano's Japanese Dictionary of Current Word★★