言語情報ブログ 語学教育を考える

浅野式辞典:「でいとれーだー」(デイトレーダー)

Posted on 2007年4月3日

「デートする相手がすぐに見つかるレーダー」のことと若者たちが喜んだそうだ。「デート・レーダー」と分けたのだ。生産性本部による恒例の新社会人の命名だそうだが、せっかくの命名も理解不能では意味がない。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★

浅野:英語教育批評:英語教育と「語用論」(その1)

Posted on 2007年4月2日

 私は1986年頃に Levinson のPragmatics を読んで、新しい用語の理解に苦労をした。1990 年には、この本を訳した安井稔・奥田夏子訳『英語語用論』(研究社出版)が出て、それを奥田先生から贈って戴いたので、500ページくらいの大冊を短期間で読むことができた。語用論の発達の歴史や問題点を知るには便利な書物だ。
 1980年代になると、英語教育では“コミュニケーション能力”が話題になって、教室の指導では、伝統的な This is a pen. のような英文が消えて、「会話」中心になっていった。その背景には語用論の発達もあったであろう。しかし、この基本表現は教えざるを得ないので、各教科書は、そのための自然な状況や文脈づくりに苦労している。
 私は戦時中の中学の国語の授業で、金田一京助が、アイヌ語を学ぶのに、まず「これは何ですか」という言い方を習い、それを身近なものを指しながら使って、ものの名称を覚えていったという話を読んだことがある。したがって、英語の教科書で、What is this?—It’s a pencil. といった文を見ても当然な気がしていた。実際にこれだけの英文でも学ぶことは多いのだ。What is が What’s になること、this がit になること、「鉛筆」が a pencil になることなどを知る必要があり、それ以外に単語の発音やイントネーションの問題も加わるのだ。今日では、自然な状況や場面に重点を置くから、生徒は何だかわかりにくい絵や写真を見ながら、「何だろうと」考えるのに時間を割いてしまい、10分くらい使っても、数人がこの文を言うだけのことになりがちだ。パタン・プラクティス全盛の頃は、50人を越えるクラスでも、短時間で一人が何回も言えるようにドリルしていたと思う。語用論から何を学び、何をいかに教室で教えるかは古くて新しい大問題なのではなかろうか。
(浅野 博)

浅野式辞典:「えむあんどえい」(M & A)

Posted on 2007年3月27日

生徒:M & A なんて知りません。M & S なら知ってるけど。
教師:何だそれは。
生徒:「いじめられるやつ」と「いじめるやつ」
教師:勝手な用語を作るな。これは経済用語だ。A は acquisitions(獲得)だ。
生徒:それじゃ、M は「まけろ」だ。「まければ、買ってやるぞ」ですよね。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★

浅野:英語教育批評:英語教育と「生活保護」

Posted on 2007年3月26日

 自分でもおかしな題だと思うが、理由は読めばわかっていただけると思う。テレビでは家庭の家計診断をやることがある。例えば、年収400万円ほどの4人家族で、貯金が全く出来ない場合、どこをどう切り詰めれば少しでも余裕が出るかといったことが相談の対象になる。「生活保護」を受けている母子家庭などの場合は、切り詰めようがないから、いかに困っているかを訴えるルポルタージュになることが多い。
 実は「英語教育」2007年4月号(大修館書店)の特集「授業名人に聞こう!〜年度初めのこんな時どうする〜」を読んで、そんな連想をしたのである。忠告の内容そのものは間違ってはいないのだが、今ひとつピンとこない気持ちが残った。
 例えば、「今年の中1は能力差がありすぎになりそうです」(これは変な日本語)という問題について、「…自己表現のある授業を展開し、『互いに学びあう生徒』『自分や相手の存在を大切にする生徒』『英語で自己表現やコミュニケーションを楽しむ生徒』を育成したいものです」と言われても、「それが出来ないから困っているのです」と私が質問者だったら言いたくなる。個別面談ではないので、これは一般論の限界なのであろうか。
 もう1つ感じたのは、この特集で指摘されているような諸問題が、相互にどう関係し、それがどこから生じているのかという、全体的な俯瞰図のようなものを認識する必要性である。「生活保護」はこれだけを論じても意味がない。「労働基準法」「最低賃金」「年金問題」「超過勤務」など関連することを総合的に問い直すことが必要なのだ。現在の多くの教育問題は、文科省の進める「学校の多様化」と深い関係がある。賛否は別として、「多様化」にはどういう長所と短所があるかを把握しておくべきだ。3月21日の夜のNHKの「“学校”って何ですか?」はかなり総合的に教育の問題を追及していた。もちろん、それで問題が解決されたということではないが、取り上げ方には学ぶところがあったように思う。
(浅 野 博)

浅野式辞典:「あまくだり」(天下り)

Posted on 2007年3月22日

 無知を売りものにして人気のあるタレントなら、「甘いもの食って腹が下ること」と言いそうだ。もっとも、いくら取り締まろうとしても、執拗に抵抗する役人たちは、薬を飲んでもあまり効かない「悪性の下痢」に似ている。

★★浅野式「でたらめ現代用語辞典」Asano’s Japanese Dictionary of Current Words and Phrases Flippantly Defined in Disorderly Order★★